私が翻訳者で本を選ぶことはないですが、彼の仕事だけは定期的にチェックしてます。分野も哲学、経済、コンピュター、建築、毛沢東と極めて広いですが、読みやすくその分野の本をもっと読みたくなりその翻訳本が入り口になることもしばしばあります。彼の本の値段は高い場合も多く、今までしてきた仕事量も大変な数、本の出版もかなりのハイペース、しかも彼は民間調査会社で働きながら、翻訳の仕事をしているわけなので、どんな超人なんだと。
難しい本を読みやすい文章に翻訳し、堅苦しくない形で啓蒙(堅苦しい言葉ですが)してる。そういう意味で言ったら、TEDの動画は幅広い層を対象としてるし、知識への入口としては本よりもハードルは低い。彼が積極的に紹介してきたオープンソースなやりかたで世界各国の有志が翻訳してTEDが成り立ってるのは、彼の仕事の正しさを証明してると言えるでしょう。
1 サイバースペースでの法律についての専門家であるローレンス・レッシグは、早くからインターネットやデジタルがそれまでの既存のデータフォーマットと全く違う特性をもつことを指摘し、サイバースペースに合わせた法律が必要だと説いてきました。このスピーチでは著作権がいかに芸術性を圧迫するかを話してます。代表的著作は CODE Version 2.0 インターネット時代における著作権やサイバースペース法に興味がある方は是非一読を。
ローレンス・レッシグ 法が想像性を圧迫する
Larry Lessig on Laws that choke creativity
ローレンス・レッシグ Re-examing the remix
Larry Lessig on Re-examing the remix
2 デンマークの学者
ビョルン・ロンボルグ。地球温暖化問題がちょっと前はかなりブームでアル・ゴアの「不都合な真実」とかが注目されてましたが、地球温暖化をもっと冷静になって考えろというのが著者の主張。「地球と一緒に頭も冷やせ!温暖化問題を問いなおす」が、山形さんの翻訳本。温暖化によるデメリットのみが叫ばれてるが、メリットにも目を向けるべき、深刻な餓死などの問題などに比べ地球温暖化は限られた資源をかけるべき問題かと問いかけてます。
ビョルン・ロンボルグ
Bjorn Lonborg sets global priorities
3 スーザンブラックモア 哲学者との対談を集めた「「意識」を語る」が山形さんの翻訳書。正直、この本は哲学の予備知識のない私にとって非常に難しくて途中で挫折しました。ただしこのプレゼンのテーマは「意識は語る」と全然違うテーマでわかりやすい。彼女は「利己的な遺伝子」のリチャード・ドーキンスが提唱した言葉の遺伝子「ミーム」の権威で、「ミームマシンとしての私」という本を書いてます。このテクノロジー化された時代ではミームがより簡単に複製・増殖することから彼女は、新しい種類のミームとして「テーム」という言葉を提唱してます。
スーザン・ブラックモア : ミームとテーム
Suzan Blackmore on memes and teme
4 自由は進化する が山形さんの翻訳書。哲学者の彼の著作は分厚いし、高いのでハードルが高いですが、TEDのプレゼンはハードルを下げてくれます。哲学というと部屋でひとり思索に耽るようなイメージがありますが、現代の哲学者達は脳の構造や実験など科学的なアプローチで哲学的主題に挑んでるのが過去の哲学者とは違うと思います。また、彼はさっき紹介したスーザン・ブラックモアの「「意識」を語る」でも対談者のひとりとして登場してます。2つ目の「危険なミーム」というプレゼンの中では、ジャレド・ダイアモンドの「銃、鉄、病原菌」を引用しながら、南アメリカ大陸の原住民を殺した病原菌のように危険なミームが広がっていくことに警鐘を鳴らしてます。
ダニエル・デネット 我々の意識について
Dan Dennet on our consciousness
ダニエル・デネット 危険なミーム
Dan Dennet on dengerous memes
Dan Dennet on dengerous memes
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